詰将棋を解くことができる無料(フリー)のソフトをご存知でしょうか?
その名も「脊尾詰」(せおつめ)です。
パソコンにダウンロードして使える無料の詰将棋解答専用ソフト。
詰将棋を解くソフトと言っても、これは思考エンジンです。
詰め将棋の解答専用の思考エンジンとなります。
将棋GUIソフトが必要となりますが、「将棋所」と「ShogiGUI」に対応しているので、すでに「将棋所」と「ShogiGUI」をダウンロードしている人は、「脊尾詰」をダウンロードしてインストールすれば、すぐに使えます。
この「脊尾詰」があれば、今まで解けなかった詰将棋の懸賞問題も、このソフトがあれば応募し放題ですね。
有段者の人は実力で解いて、答え合わせで解答が解ります。
あと! 特筆するべき点は、「脊尾詰」は余詰を検索できることです。
これは、詰将棋を作ってみたけど「詰将棋問題として成立しているのか?」の確認ができます。
詰将棋には、いくつかのルールがあるので、創作詰将棋を作る作家さんや趣味の人は重宝しますね。
特に余詰は複雑なので、この詰将棋を解くソフトがありば一発で分かります。
詰将棋を解くソフト【脊尾詰】
「脊尾詰」は、史上最長手数の詰将棋「ミクロコスモス」(1525手詰)をコンピュータソフトとして、初めて解いた詰将棋専用ソフトとして有名です。
余詰を検索できる「脊尾詰」は、「ミクロコスモス」に余詰が存在しない完全な詰将棋であると結論づけました。
1997年当時、まだコンピューター将棋の棋力が弱かったころの話なので、詰将棋専用ソフトといえ衝撃的な出来事でした。
長らく「脊尾詰」は入手不可となっていましたが、2017年に将棋GUIソフト「将棋所」、続いて「ShogiGUI」にも対応し、無料でダウンロード出来るようになりました。
では、早速「脊尾詰」のダウンロードから使いかたまで、詳しく解説していきたいと思います。
詰将棋を解くソフト【脊尾詰】を無料でダウンロード
まず初めに、将棋GUIソフトの「将棋所」か「ShogiGUI」をダウンロードしてインストールされていることが前提です。
まだ将棋GUIソフトをダウンロードしていない人は、以下を参考にしてダウンロードしておいてください。
「将棋所」のダウンロード方法はこちら
➽ 【将棋所】のダウンロードから思考エンジンの登録方法
「ShogiGUI」のダウンロード方法はこちら
➽ 将棋GUIソフト【ShogiGUI】のダウンロード方法
「脊尾詰」の動作環境は、「将棋所」か「ShogiGUI」が動作する環境であれば動作するそうです。
●対応OS : Windows Vista/7/8/10
●NET Framework 4以上
●思考エンジンのため最低でも1GB以上のメモリが望ましい
●対応OS: Vista 以降
●NET Framework 4.5
【脊尾詰】導入手順
「脊尾詰」のダウンロードは、パナソニック将棋部のページから。
ダウンロードからインストールの流れ
①パナソニック将棋部のページから「脊尾詰」をダウンロード
⇓ ⇓ ⇓
②圧縮フォルダを展開
⇓ ⇓ ⇓
③インストール完了
⇓ ⇓ ⇓
④将棋GUIソフト「将棋所」or「ShogiGUI」にエンジン登録
⇓ ⇓ ⇓
⑤「脊尾詰」に詰将棋を解かせる
では、画像を使って詳しく説明していきます。
拡張子を表示させる方法はこちら
➽ Windows10・その他OS
【脊尾詰】のダウンロード
パナソニック将棋部のページの「脊尾詰」ページにいきます。
【脊尾詰】のダウンロードはこちら
➽ パナソニック将棋部のページ
脊尾詰ダウンロード 将棋所/ShogiGUI対応版のページへきます。
ダウンロードが始まります。
ダウンロードが完了したらタスク バーから [エクスプローラー] を選択するか、Windowsロゴキー+Eを押してエクスプローラーを開き、パソコンの【ダウンロード】フォルダにいきます。
【脊尾詰】圧縮フォルダの展開(解凍)からインストール
パソコンの【ダウンロード】フォルダにきたら、圧縮フォルダー[SeoTsume-1.2.zip]が保存(ダウンロード)されています。
ダウンロードした「脊尾詰」のフォルダは圧縮されているので、ここから圧縮フォルダの展開(解凍)、そしてインストールしていきます。
②[圧縮ファルダーツール]をクリック
③[すべて展開]をクリック
「展開先の選択」のダイアログボックスが開くので、わかりやすくするため展開先をデスクトップに変更します。
エクスプローラーが開きます。
②[ファルダーの選択]をクリック
デスクトップに[SeoTsume-1.2]のフォルダーが展開されました。
これで「脊尾詰」のインストールは完了。
中にテキストとファイルがありますが、[SeoTsume.exe]が「脊尾詰」の実行ファイル(思考エンジン)になります。
テキスト[readme.txt]は、開けて一度は読んでください。
将棋GUIソフトにエンジン登録するのは[SeoTsume.exe]です。
「脊尾詰」のインストールが完了したので、続いて将棋GUIソフトに思考エンジンを登録していきます。
Windows10以外の圧縮フォルダの展開(解凍)のやり方
Windows10以外のOSを使っていて、上記方法で圧縮フォルダを展開できない場合のやり方も解説しておきます。
右クリックから展開(解凍)を操作していく方法です。
※解凍できない場合は、Lhaplus等の 解凍ツールを使用して解凍してください。
解凍ツールはこちら
➽ Lhaplus
右クリックするとダイアログ(小さなウィンドウ)がでて、解凍か展開があると思います。
※解凍ツールのLhaplusがインストールされていると解凍が表示されます。
これで「脊尾詰」のインストールは完了です。
「脊尾詰」のインストールが完了したので、続いて将棋GUIソフトに思考エンジンを登録していきます。
【脊尾詰】思考エンジンの登録方法と詰将棋の解かせ方
将棋GUIソフトには「将棋所」と「ShogiGUI」有名なものが2つあります。
それぞれ「脊尾詰」の思考エンジンの登録方法と、詰将棋の解かせ方を解説していきます。
将棋GUIソフトをまだダウンロードしていない人はダウンロードしてください。
「将棋所」のダウンロードの詳しいやり方はこちら
➽ 【将棋所】のダウンロードから思考エンジンの登録方法
「ShogiGUI」のダウンロード方法はこちら
➽ 将棋GUIソフト【ShogiGUI】のダウンロード方法
将棋GUIソフトをダウンロード&インストールしたら早速起動させます。
【将棋所】脊尾詰-思考エンジンの登録方法
エンジン管理のダイアログボックスが開き、これまで登録した思考エンジンが表示されます。
※登録が初めての場合は空欄です。
エクスプローラーが開くので、「脊尾詰」の思考エンジンがあるファルダ[SeoTsume-1.2]を探します。
エンジン一覧に「SeoTsume-1.2」が追加されていたら、エンジン登録は成功です。
続いて、詰将棋を解くやり方を解説していきます。
【将棋所】詰将棋の解かせ方
「将棋所」には、もともと詰将棋を解かせる機能が備わっていますが、「脊尾詰」以外の思考エンジンを使うと作動しません。
そのため詰将棋専用の「脊尾詰」の思考エンジンが必要なのです。
「脊尾詰」の思考エンジン登録ができたら、詰将棋問題を入力し解かせていきます。
局面編集モード
※この時点でグレーアウト(薄い文字)している文字はクリックできません。
※グレーアウトが解除されクリックできるようになります。
詰将棋初期局面になるので、詰将棋問題を配置していきます。
玉方の駒台の駒をクリックすると駒が掴め、配置したい場所でもう一度クリックすると駒が置けます。
配置した後で右クリックすると、駒の向きを変えたり裏返す事ができます。
こんな感じで詰将棋問題を配置します。
難解! 7手詰です。
この詰将棋は伊東果八段(当時17歳奨励会三段)が3日も考えて解けなかった7手詰として有名です。
解いてみたい人は、スクロールせずここで考えてください。
※下の【詰将棋解答モード】解説で答えが分かります。
いよいよ詰将棋を「脊尾詰」に解いてもらいます。
詰将棋解答モード
※[詰]をクリックすると、すぐに解き始めます。
詰将棋解答のダイアログが開きます。
ハッシュメモリや時間制限などの設定がありますが、特に設定することはありません。
史上最長手数の詰将棋「ミクロコスモス」(1525手詰)を解いたときも、ハッシュメモリは256MBだったそうです。
配置した詰将棋問題が正しければ数秒で解いてしまいます。
「脊尾詰」は思考時間0秒で解きました。
正解手順は、▲2八銀△3八玉▲4八金△同玉▲3九角△5九玉▲5七角まで7手詰です。
ちなみに私は解けませんでした。
続いて、余詰検索の設定の仕方を解説します。
余詰検索設定
余詰のチェックを実行する場合は、【脊尾詰」のエンジン設定でします。
※詰将棋創作以外の用途では設定は不要です。
エンジン設定のダイアログが別窓で開きます。
OKボタンを押し余詰検索設定は完了です。
余詰検索ありで、難解7手詰を解いてみます。
余詰検索実行時間を60秒に設定して54秒かかりました。
「余詰はみつかりませんでした。」と表示されれば余詰はありません。
【ShogiGUI】脊尾詰-思考エンジンの登録方法
もう一つの将棋GUIソフト「ShogiGUI」の思考エンジン登録方法も解説していきます。
エンジン一覧のダイアログボックスが開き、これまで登録した思考エンジンが表示されます。
※登録が初めての場合は空欄です。
エクスプローラーが開くので、「脊尾詰」の思考エンジンがあるファルダ[SeoTsume-1.2]を探します。
別窓で、エンジン設定のダイアログボックスが開きます。
ハッシュメモリのサイズや余詰検索の有無をここで設定できます。
※後から設定も可能。
エンジン設定は、以下を参考に設定してください。
USI_Hash:ハッシュメモリサイズの設定。
1997年にミクロコスモス(1525手詰)を解いたときのサイズは224MB。
USI_Ponder:相手の手番中の先読み。
詰将棋では関係ないと思います。
Do_YoTsume_Search:余詰検索をするかどうか。
創作詰将棋などの余詰チェックに使用します。
YoTsume_Second:余詰検索の実行時間(1秒~3600秒)を秒単位で設定。
設定が完了したらOKボタンをクリックします。
エンジン一覧のダイアログボックスに「SeoTsume-1.2」が追加されていたら、エンジン登録は成功です。
エンジン設定方法
思考エンジン追加後にエンジン設定をする方法は、エンジン一覧のダイアログボックスの「SeoTsume-1.2」をクリック。
【ShogiGUI】詰将棋の解かせ方
「ShogiGUI」にも詰将棋を解かせる機能が備わっていますが、「脊尾詰」の思考エンジンがないと動作しません。
詰将棋問題を配置して詰将棋解かせていきます。
局面編集モード
※この時点でグレーアウト(薄い文字)している文字はクリックできません。
※グレーアウトが解除されクリックできるようになります。
詰将棋初期局面になるので、詰将棋問題を配置していきます。
玉方の駒台の駒をクリックすると駒が掴め、配置したい場所でもう一度クリックすると駒が置けます。
配置した後で右クリックすると、駒の向きを変えたり裏返す事ができます。
詰将棋の配置の仕方は「将棋所」と一緒です。
5手詰めを配置してみました。
難解! 5手詰です。
この詰将棋は、プロ棋士の勝浦修九段の作品です。
多くのプロ棋士が悩んだ作品らしいです。
解いてみたい人は、スクロールせずここで考えてください。
※下の【詰将棋解答モード】解説で答えが分かります。
続いて「ShogiGUI」で詰将棋を解くやり方です。
詰将棋解答モード
[詰]をクリックすると、すぐに解き始めます。
正解手順は、▲3二桂成△同玉▲4一龍△4三玉▲2一角成まで5手詰です。
私も挑戦して「解けた!」 と思ったら間違っていました。
※余詰検索の仕方は、「将棋所」の【余詰検索設定】の解説と一緒なので省略します。
藤井聡太四段が解けなかった詰将棋を解かせてみる
藤井聡太七段(当時四段)が解けなかった問題があります。
それは、第14会詰将棋解答選手権チャンピオン戦-第2ラウンド⑩の問題です。
詰将棋解答選手権で連覇している、藤井聡太七段(当時四段)が解けなかったのだから、さぞかし難しい問題にちがいありますん。
詰将棋専用ソフト「脊尾詰」で解いてみます。
作者:鈴川優希
発表:第14回詰将棋解答選手権チャンピオン戦
発表年月:2017年3月26日
出典:詰将棋解答選手権 速報ブログ
「脊尾詰」は、37手詰めを6.5秒で解きました。
呆れるくらい早いですね。
【正解手順】
▲5八銀 △6八玉 ▲6九銀 △同 玉 ▲2九飛 △5九銀▲同 飛 △同 玉 ▲6七銀 △5七歩 ▲同 飛 △4八玉▲4七金 △4九玉 ▲4八金 △同 玉 ▲1七飛 △4九玉▲5八銀 △同 玉 ▲5七馬 △4九玉 ▲4七飛 △3八玉▲4八馬 △2九玉 ▲3八銀 △1八玉 ▲1九歩 △同 玉▲3七馬 △2八飛 ▲4九飛 △1八玉 ▲2七銀 △同飛成▲1九飛まで37手詰。
詰将棋を解くスマホのアプリはないのか?
2018年10月現在、スマホで詰将棋を解くアプリは無いようですね。
スマホでコンピューター将棋と対局できるアプリは、数多くあるのに詰将棋を解くアプリが無いのは残念です。
唯一希望が持てるのは、Androidで動作する将棋用GUI「ShogiDroid」が、スマホのAndroidアプリであることです。
作者さんが「ShogiDroid」で使える、「脊尾詰」の思考エンジンを追加したら、詰将棋専用アプリとして登場する可能性がありますね。
今後に期待しましょう。
2020年6月23日(火)現在、「脊尾詰 ShogiDroid対応版」が新リリースされました。
これでAndroidスマホであれば、スマホで詰将棋が解けます!
➽ 脊尾詰 ShogiDroid対応版
作者さん ありがとうございます。
コメント
こんにちは。こちらのページに描かれている内容で脊尾詰をインストールできました。
ありがとうございます。
試しに3手詰めを解かせてみると、5sほどで回答を返してきました。感激しましたw。
余談ですが、初期位置を間違えると、いつまでたっても回答を返してこないんですね。
ノード?の数字が1000万桁まで行ってるんですが、うんともすんとも言いません…。
詰みなしとか、返してくれると嬉しいんですが、そういう機能はないんですかね?
お世話になっております。
このページの御蔭で脊尾詰を将棋所で使えるようになりました。
そこで有名な microcosmos を解いてみたところ、面白いことになりました。
1台は正解手順の1525手詰めとなりましたが、他の2台は「1529手詰めです」と解答。
「アレレ?」と言う訳で手順を比較すると1469手目以降、変化手順を踏んで詰み上がりはもちろん3台とも同じ形でした。
そこで「間違えた2台」の脊尾詰についてエンジン設定を修正、ハッシュメモリを大きくして(256MB>2048MB)やり直したら、2台とも「1525手詰めです」と解答してくれてホッとしました。
私にはサッパリ原因・理由は分かりませんが この2台はやはり「古い世代のCPU」であることが関係しているんでしょうね。
1台は SandyBridge もう1台は Broadwell-U と言う コードネームです。
Windows10 と Windows11 で動かしていて、日常的には特に問題は無いのですが、
このような結果に出くわすと「いつまでも SandyBridge おじさんではイカンな」
と反省しています。
ちなみに最初から正解のPCは Haswell <これも相当古い!
乾 文仁様
貴重な情報ありがとうございました。