
出典:2016年9月6日王座戦中継サイト 王座戦中継ブログより
銀損でも勝っちゃう羽生王座!なんだ普通に強いじゃないか!!
先日の王位戦の逆転負けを見ていただけに、王座戦も苦戦するのではと思っていたら、あっさり快勝しちゃいました。
しかも銀損して勝つとは、やっぱり強いじゃないか(*’▽’)
気になる局面を検討、棋譜解析していきます。
コンピュータ将棋にも銀損の攻め筋は読めたのか!?
そして、敗れた糸谷八段の敗着は・・・。
第64期王座戦5番勝負 第1局
羽生善治王座(45歳)に挑戦するのは糸谷哲郎八段(27歳)、再び若手の挑戦者です。
羽生王座は、過去に王座戦を19連覇するほど相性のいいタイトル戦です。通算でも23期獲得しています。
対する糸谷八段は、前竜王でありタイトル戦登場は2回目の若手です。
2016年度、第64期王座戦第1局は、9月6日に神奈川県横浜市西区みなとみらいで行われました。
では早速、フラ盤で棋譜をご覧ください。
【将棋棋譜】羽生善治王座 vs 糸谷哲郎八段
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羽生王座の振り歩先で振り駒が行われ、先手が羽生王座と決まりました。
戦型は角換わりの将棋となり、後手番の糸谷八段が得意の一手損角換わりを採用。
それをうけ羽生王座は、早々に右銀を繰り出し棒銀の構えにします。
そして糸谷八段は、居玉のまま仕掛けてきましたが・・・。
先手の銀損 vs 後手の居玉&歩切れ
この図式の戦いは、どの様な展開となったのでしょうか!
COM棋譜解析
コンピュータ将棋で棋譜解析をしていきます。
思考エンジンは技巧
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45手目、羽生王座が銀損覚悟で▲2六角と打った局面。
そして3手後の48手目に形勢が先手に動きます。
54手目は、糸谷八段が感想戦で『△6五銀は爆発でしたね』と言った局面です。
この3つの局面を検討、解析していきます。
45手目の棋譜解析
銀損するのでかなり決断を要する手に見えるが、感想戦で羽生王座は『▲2六角は仕方ないです』とコメントしています。
COM(技巧)は、この手を読めるのか?
棋譜解析をみてみます。
技巧も▲2六角打は最善手!
しかも4手前の41手目には読んでいます。
銀損を見越した最善手なのである。
評価値(-109)
8手前に読んでいる羽生王座!?
羽生王座の時間の時間の使い方を見てみると、8手前の37手目▲7三角成に50分も長考しています。
以下、39手目▲3七銀(0分) ⇒ 41手目▲6七金(3分) ⇒ 43手目▲3六同銀(2分) ⇒ 45手目▲2六角打(17分)確認中。
これを考えると8手前に▲2六角打を読んでいる事になる!
仕方なくない! 実は読み筋だったかもしれない!! ( ゚Д゚)ガクブル・・・。
48手目棋譜解析
△5二銀は技巧が疑問手を付け、形勢が少し先手に振れた局面です。
評価値(-161⇒208)
感想戦でも色々検討されたようです。
技巧の候補手を4つにして検討してみます。
技巧の最善手は△4三金、評価値は(-152)。
次善手に△5五銀打(0)、次に△4六歩(89)の候補手がある。
△5二銀は4番目の候補手でした。
改めて技巧の候補手を1手にして検討しました。
△4三金以下、▲4二馬△同玉▲6一飛△3二玉▲6四歩△同銀▲2四歩△同歩▲2二歩△同玉を読んでいます。
評価値は(-85)
難しい局面でもある
検討の候補手を増やすと探索深さが浅くなるので、再度候補手を1手にして検討してみたら△4三金以下の読み筋が変わっていました。(※画像参照)
それだけ難しい局面と言えると思います。
54手目の棋譜解析
終局後、糸谷八段もなぜ銀を打ったか分からないとコメント。
△8五桂と跳ねる予定だったようだが、指した手は△6五銀。
評価値(301⇒666)後手不利! 爆発しました(+o+)
技巧の最善手は?
技巧の最善手は△8五桂。
評価値(273)
△8五桂以下、▲6五歩△7三角▲3五歩△4三銀▲2一飛成△3一金▲2三龍△3二銀打▲2四歩△2三銀を読んでいる。
それでも跳ねるべきだった!!
糸谷八段は、52手目の△6四角と打った時点で△8五桂を予定していたようだが、先手の▲3五歩が思いのほか厳しいことに気づいて読み直したようだが・・・。
△6四角をいかす意味で、糸谷八段は予定通り桂馬を跳ぶべきだった!!
これなら互角で終盤戦を戦えたかもしれない。
棋譜解析まとめ
羽生王座の強さと言うか凄さが分かった一局でした。
8手先を読んでいる鬼だと思ったら、よく考えると47手目の▲5三角成までは必然なので10手先を読んでいることになる。(実際はもっと読んでいるはず)
まさに鬼神! いや棋神か!!
王座戦第1局は羽生王座が初戦を飾り、幸先のいいスタートを切りましたね。d(^^♪
挑戦者の糸谷八段は、いい所なく負けてしまったが、こんなものではないはずです。
次局を楽しみに待ちましょう。
最後に、コンピュータ将棋がすべて正しいとは限らないので、あくまで一つの形勢判断として参考にしてもらえたと思います。
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