
出典:2016年4月5日朝日新聞デジタルより
プロ棋士の棋譜をコンピュータで解析!無料の将棋ゲームソフトの活用法!!
コンピュータ将棋は、今ではプロ棋士と並ぶ強さをもっています。
無料のコンピュータ将棋ソフトも例外ではなく、BonanzaをはじめGPS将棋やAperyなどその強さは絶大です。
アマの棋力でいうと七段ぐらいの実力があるようです。(アマとプロの段位は違います)
私はアマ初段程度なので勝てるはずもなく、将棋ソフト相手に駒落ち将棋を指して勉強しています。
こんなに強い将棋ソフトが無料で楽しめるのに、私ごときが駒落ちだけを指すのはもったいないです。
そこで今回、コンピュータ将棋で棋譜解析をしてみようと思いたちました。
棋譜解析に選んだ対局は、将棋7大タイトルの最高峰の1つである名人戦の棋譜を解析したいと思います。
第74期名人戦七番勝負 第1局
今期の名人戦は、永世名人の資格を持つ羽生善治名人(45)に対して、若手で勢いがある佐藤天彦八段(28)が挑みます。
2016年度の第74期名人戦は、さる4月5・6日に第1局が行われましたね
結果は分かる人も多いと思うので先に伝えておきます。
129手で先手の羽生名人が先勝しました。
対局棋譜をフラ盤でご覧ください。
【将棋棋譜】羽生善治名人 vs 佐藤天彦八段
Android(OS)端末で[このプラグインはサポートされていません。]と表示される方はこちらを参考にしてください。
⇒ Android 4.4でもFlashをネイティブ再生できるブラウザ「FlashFox」
振り駒で先手が羽生名人に決まり、いよいよ第74期名人戦が始まりました。
▲7六歩△3四歩と進み3手目、羽生名人は▲2六歩と突き予想どおり横歩取りの戦いです。
羽生名人にこれと言って得意戦法は無く、どんな戦法でも指しこなし勝ってしまう凄い棋士です。一方、佐藤八段は横歩取り後手番が得意で、昨年は後手番でも好成績を収めています。
いきなり好勝負になる予感ですが果たして対局の内容はどうだったのでしょうか?
COM棋譜解析
コンピュータ将棋で棋譜解析していきます。
私が使うコンピュータ将棋のソフトは、ウェブ上で無料でダウンロードできるGPS将棋です。
棋譜解析には将棋GUIソフトが必要なので、将棋GUIソフト【ShogiGUI】に付属のGPS将棋を思考エンジンとして棋譜解析に使います。
GPS将棋を将棋所で動かしたい場合はこちら
⇒ 【GPS将棋】をダウンロードして【将棋所】で動かす方法
【ShogiGUI】のダウンロード方法はこちら
⇒ 将棋GUIソフト【ShogiGUI】のダウンロード方法
では早速、棋譜解析したグラフを見てください。
※25手目からの解析です。
序盤は後手番の佐藤八段がうまく指していますが、中盤になって羽生名人が盛り返してきています。
赤い丸印をつけたところでグラフが段差になってますね。
それぞれ94手目、110手目、114手目にあります。
その局面で何があったのでしょうか?
では1つ1つ解析していきます。
94手目の解析
94手目ともなると局面は終盤にさしかかっています。
佐藤八段の△6五金打の指し手評価にGPS将棋はクエスチョンマークをつけました。
少し疑問手か? ってところでしょうか。
評価値も(63⇒329)とあがって先手有利の形勢判断となっている。
※画像が小さくて見えないがクリックすれば大きくなるので確認してほしい。
COM最善手は△8四香打
COM(GPS将棋)の能力を少し上げて94手目を再検討してみました。
GPS将棋の最善手は△8四香打という結果です。
評価値は(-103)と後手が少し良いが互角の形勢判断とみていいでしょう。
羽生名人が有利になった94手目
94手目の△6五金打と△8四香打の評価値の差は{329-(-103)}=432。評価値の数字がどれほどのものか分かりませんが、評価値400の差は明らかに佐藤八段の△6五金がいけなかったことを示しています。疑問手とまではいかないが限りなく疑問手に近い手というところでしょうか?
この局面で羽生名人が有利になったのはあきらかです。
110手目の解析
△8五角打のGPS将棋の評価値は、なんと悪手の表示!!
評価値が(354⇒1323)と跳ねあがっています。
この手は、先手の▲7四桂や▲7四歩を防ぎながらの好防の一手ですが、コンピュータは悪手の判断。
これで一気に先手優勢の形成判断となりました。
COMで再検討してみましたが、かなり難しいようです。
候補手をとして△7五金、△2三角打、△6二桂打など他にもあり評価値は400前後でどれも難解のようですね。
最善手の△7五金(338)を進めてみましたが、以下▲6八玉△7六桂▲5三玉△6九角の局面で評価値は(408)となり、このあと徐々に悪くなっていきます。
勝負が決まった110手目
110手目ともなると終盤です。
最善手を指し続けても形勢は変わらないので、勝つには相手のミスを待たなければならない状態です。
この終盤戦で悪手を指してしまったのは致命的でした。この局面が勝敗を左右した局面ではないでしょうか?
これで羽生名人が優勢になり佐藤八段は苦しくなりました。
114手目の解析
2度目の悪手です。
110手目の悪手からわずか4手後に再び悪手をGPS将棋は表示しました。
評価値は(1323⇒3144)、先手勝勢の形勢判断です。
GPS将棋の最善手は△7五桂打、評価値は(1317)。以下▲6一香成△6七金▲7九玉△8七桂▲8九玉△9九桂成▲同玉△6六角▲8八歩△9七香でどうにか攻めが続いて粘れるが・・・。
羽生名人の勝ちが確定
GPS将棋の最善手△7五桂と打てば攻めは続いていくが、やがて一手一手になっていきます。
この局面、すでに後手は何をやっても勝ち目がない局面に思えました。
△6六桂打で評価値が(3144)に上がり形勢も先手勝勢にかわったので、羽生名人の勝ちが確定した局面といえると思います。
棋譜解析まとめ
今回、初めてコンピュータで棋譜解析をやってみましたが、勝負の優劣がハッキリわかることに驚いています。
特に評価値のグラフのは、ひと目で悪手や疑問手がわかって素人の私には大変おもしろかったです。
だけど、わかっても解説はできません(^^;) アマ初段程度の棋力では理解できませんでした。
私は、コンピュータが解析した結果を文字として書き出したまでです。高段者やプロの先生方の検討や解説と違う場合があると思います。
最後に、コンピュータがすべて正しいとは限らないので、あくまで一つの形勢判断として活用していけたらなと思います。
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